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小泉首相「科学技術は明日への投資」
厳しい財政状況の中、これまで削減対象とならず「聖域」だった科学技術関連予算にもメスが入ろうとしている。「第3期科学技術基本計画」(2006年度~10年度)のとりまとめに向けて大詰めを迎えている総合科学技術会議だが、先日開かれた本会議において、谷垣財務大臣は「06年度予算編成は、05年度と比較して全体的に削減する方針。科学技術に対しても例外ではない」と述べる。第1期17兆円、第2期24兆円と、科学技術予算の数値目標が設定されてきたが、谷垣大臣は「投入目標ではなく、成果目標が必要」とし、公共事業と同様に、科学技術投資についても転換を図るべきと強調する。
政府税制調査会は11月25日、来年3月で期限切れとなる研究開発費の優遇税制といった企業向け減税の廃止などを盛り込んだ06年度税制改正答申を小泉首相に提出した。研究開発税制の延長については、製薬団体からも要望している項目のひとつ。政府税調は、企業業績の回復で不況対策的な減税の必要性が薄れたなどとし、答申ではIT(情報技術)投資促進税制や研究開発費の優遇税制など総額約1兆円に上る企業向け減税を打ち切るべきだとの考えを示している。産業界からは異論の声は強く、今後議論の場を自民党税制調査会に移し、議論をしていくことになる。
「科学技術は明日への投資」。先の総合科学技術会議で小泉首相は最後にこう述べた。科学技術への投資の重要性は皆が一致している認識。限られた財源の中で、国際競争力をどう高めていくか。難しい課題となる。
(2005年12月9日掲載)
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◇ゴミは宝の山 (2005年12月16日掲載) |
◆小泉首相「科学技術は明日への投資」 (2005年12月9日掲載) |
◇タミフル報道について (2005年12月2日掲載) |