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平均乖離率は4%台に
2025年度の薬価調査における薬価と市場実勢価格の平均乖離率は約4.8%だったことが12月3日、中央社会保険医療協議会総会に報告された。25年度の中間年薬価改定のために実施された前回調査に比べると0.4ポイント縮小。乖離率は初めて4%台となった。25年9月取引分を対象に調査し、販売サイドから10月末までに報告があったものを集計した。カテゴリ別では▽後発医薬品のない先発医薬品が3.6%▽後発品のある先発品が9.6%▽後発品が8.7%▽その他品目が1.9%――だった。後発品の数量シェアは約88.8%(前回調査比3.8ポイント増)、金額シェアは約68.7%(同6.6ポイント増)となった。
平均乖離率は年々圧縮しており、これは単品単価交渉がしっかりなされている証拠だろう。乖離率の圧縮が続くこと自体は評価されるべきだが、大学病院や薬局には経営的なダメージが大きい。国立大学病院長会議は先日、全国42国立大病院の25年度の収支の見通しについて、経常損益が全体で400億円超の赤字となる可能性があると発表した。これは物価や人件費の上昇による影響が大きいが、乖離率の圧縮もかなり関係しているはずである。
一方でメーカーや卸も、薬価の中間年改定の実施などにより、経営には決して余裕があるわけではない。もちろん経営努力は必要だとしても、それには限界がある。いかに持続可能な制度設計を実現するのか、早急な議論が必要だ。
(2025年12月12日掲載)
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