オピニオン
気になる3者の距離感
6月29、30日に開催の日本薬剤師会定時総会において、議案として提出された役員人事が了承され、岩月進・新会長の体制が正式にスタートした。女性役員6人を含む体制は、半数ほどが新しい顔ぶれだ。奇しくも関連する団体も執行部が大幅に入れ替わった。また、日本保険薬局協会(NPhA)も昨秋、敷地内薬局を巡る不祥事で首藤正一・前会長が辞任し、当時副会長を務めていた三木田慎也・総合メディカル代表取締役副社長を選任。代打のかたちで会長職を担っていたところ、本年5月の定時総会において、三木田会長を改めて会長職に選出した。さらに日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)も6月の通常総会で、池野隆光会長の後任に、塚本厚志・マツキヨココカラ&カンパニー、代表取締役副社長を会長とする新執行部体制を了承した。就任に際して塚本会長は「古き良き時代の前例を踏襲することも大切であるが、全く新しい変化、組織文化としてもスクラップ&ビルドは必要」と語っており、早くも塚本色をうかがわせている。振り返ると3団体は調剤バッシングや患者のための薬局ビジョンの策定などを背景に、薬局・薬剤師の仕事の“見える化”に向けて手を取り合ってきた。特に山本信夫・日薬前会長、池野隆光・JACDS前会長、南野利久・NPhA元会長の体制時において急速に距離を縮めた。山本前会長は退任時に「(3団体の)連携はここ数年極めて良好な体制を築けている。関係は継続したい」と呼びかけている。しかしながら、ボタンの掛け違いがあることも確かだ。先の調剤報酬改定議論において、敷地内薬局への対応としてグループ減算を示されたことを巡り、そのスタンスの違いが浮き彫りとなった。さらに現在検討されている薬機法改正においては、濫用のおそれのある医薬品の取扱いを巡り、JACDSは頑なに規制強化を拒んでいる。調剤報酬改定も一般薬の販売規制も、NPhA、JACDSそれぞれの懐具合に直結する話だ。中医協をはじめ、業界の代表として参加するのは日薬が中心的であり、そのあり方については、かねてから不満が募っている。同じタイミングでトップが交代したことによる影響はこれから。友好の継続か、是々非々の関係が色濃くなるか。いずれにせよ、3団体とも多方面から“みられている意識”は必要だろう。
(2024年7月26日掲載)
前後のオピニオン |
◇「甲子園には1回戦も2回戦もない」 (2024年8月9日掲載) |
◆気になる3者の距離感 (2024年7月26日掲載) |
◇カオスな都知事選 (2024年7月19日掲載) |