オピニオン
患者の尊厳と自己責任
薬食審・医薬品等安全対策部会安全対策調査会は3月9日、「サリドマイド製剤安全管理手順(TERMS)」及び「レブラミド適正管理手順(RevMate)」の改訂について検討を行い、女性患者C(妊娠の可能性がある女性患者)の定義の見直しなど、第三者評価委員会の提言が示した改訂の方向性を概ね了承した。手順改訂については、パブリックコメントを実施、広く国民の意見を募集する。
調査会前日、日本骨髄患者の会は、医薬食品局長宛に要望書を提出している。要望書では「患者の尊厳を守るためにも、同手順の考え方の根本的な転換を求めたい」と記載している。「患者の尊厳」とは、一つは処方ごとの避妊の確認や妊娠反応検査を指す。病気で性交渉などできないにもかかわらず、処方のたびに避妊確認や検査を義務付けられるのは精神的苦痛だとの訴えだ。手順の改訂には、こうした患者の気持ちに配慮したところもうかがえる。
手順の見直し案に反対するものではないが、一つ気になるところがある。提言や調査会での発言において、「自己責任」という言葉が度々使われていることだ。同製剤は、催奇形性を有する可能性が否定できないことから、厳しい安全管理手順が規定されている。薬剤を適正に使用しなかったことで起こる被害は、生まれてくる子供が被ることになるのだ。それを患者の「自己責任」としてよいのだろうか。患者の尊厳を守るために自己責任とするというのは違うと思うが、いかがだろうか。
(2012年3月23日掲載)
前後のオピニオン |
◇いつ禁煙するか (2012年3月30日掲載) |
◆患者の尊厳と自己責任 (2012年3月23日掲載) |
◇登録販売者の継続研修 (2012年3月16日掲載) |