オピニオン

使ってみてもらうということ

 お相伴に預かったところ、そのおいしさにいそいそと買い続けるようになる。狙いをもってこうした需要を創出しようとする方策のひとつが製品のサンプリングだ。街角で配られるドリンク剤やシャンプーの試供品などもそう。今まで関心の外にあったものが突然、消費者・生活者の身近になる瞬間と言える。試してみてだめならばもともと。しかし気に入ってもらえれば以降、むしろ消費者・生活者の側から手を伸ばすようになってくれることに繋がる。
 薬局店頭でも、生活者・消費者がOTC医薬品を選択する際には専門家の助言が持つ影響力を除くと、テレビや交通機関といったマス広告の影響が大きいという見方がある一方、使用で得た実体験の影響が大きいという見方がある。ブランド名・製品名に対する馴染みの程度のほか、過去に使用した時の体質への相性や効き目がどうであったかなどに基づく自身の“成功体験”も判断材料として重要視されているわけだ。
 過去の成功体験が製品選びに結び付いていると思われる例では、スイッチOTCのヒットも挙げられるかもしれない。切れ味の良さでまず支持されていると言えるが、医療機関で処方された時に相性や効きが良かったという記憶から購入する向きもあるだろう。相性や効き目の記憶で再び購入するという意味では、店頭で勧められて使用してみた無名のPB品であっても同じだ。実際に使ってみてもらうということは、OTCにおいても根強いファンを増やす。



(2012年11月23日掲載)



前後のオピニオン

「緩和ケア」に対する思い込み
(2012年11月30日掲載)
◆使ってみてもらうということ
(2012年11月23日掲載)
終末期に向けての医療知識を
(2012年11月16日掲載)