オピニオン

不足しているのは「課題設定能力」

 2006年から始まる第3期科学技術基本計画の策定に向けて、現在、総合科学技術会議が議論を重ねている。その中で、計画の基本方針のひとつとして掲げられているのが「将来を支える人材を大切にする」というもの。会議では、現在、世界各国が優れた頭脳をどのようにして育てるか、激しく競い始めているとし、欧米のみならず、中国、韓国も含めた「知の大競争」が激化している状況にあるとしている。
 2004年度版の「科学技術指標」によると、若手研究者が備えておくべき素養・能力への指摘として、「充足している」が「専門分野の知識」、「過不足無し」が「探究心」「課題解決力」であったことがアンケート調査で明らかになった。一方、「不足している」との指摘があったのは「課題設定能力」および「創造力」。与えられた課題を解決する能力はあるが、その課題自体を設定する力が不足している――。そのような実態が浮き彫りになったと言える。
 2002年度より各学校で導入された総合学習の時間。文部科学省は、総合学習によって、自ら課題を設けて行う学習や、将来の生き方を考える学習が積極的 に行われるとしている。その一方で、「1番難しいのは、子どもが自分の課題を見つけること」とする教師の見方もある。アンケート調査で「不足している」との指摘があがった「課題設定能力」。日々仕事をしていく上で、自分自身この能力のなさを痛感する毎日である。



(2005年9月2日掲載)



前後のオピニオン

奥さんとうまくいっていますか?
(2005年9月9日掲載)
◆不足しているのは「課題設定能力」
(2005年9月2日掲載)
支倉常長の帰国
(2005年8月26日掲載)