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「PBR 1倍越え」とは
最近の決算発表や中期経営計画でよく見かける言葉が「PBR 1倍越え」だ。PBRは「株価純資産倍率」という。求め方は「株価÷1株あたり純資産」だ。「1株あたり純資産」は決算短信の表紙に掲載されており、製薬企業では「1株当たり親会社所有者帰属持分」となっていることも多い(記載がない企業も多い)。オリエンタルランドの2025年3月期中間期の1株当たり純資産は587円50銭、12月5日時点の株価3431円で計算すると、PBRは5・84倍となる。
なぜ、最近になって企業がPBR 1倍越えを目標に置くようになったのかというと、2023年春、東京証券取引所から、プライム市場及びスタンダード市場の全上場企業を対象に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請が行われたことによる。この「株価を意識した経営」の部分で「PBR 1倍」が一つの目安となっているようだ。「PBR 1倍」が何を意味するかを調べてみると「PBR 1倍割れは、会社を解散して資産を株主に分配した方が株主は得する」ということ。つまり、PBR1倍割れの企業は「株主の期待に応える株価になっていない=株価が安い」こと意味している。「株価を意識した経営の実現」は「株価が上がるような経営をしてね」となる。PBR 1倍越えは、株価の価値の目安になるわけだ。最近、自己株式の取得と解消を進める企業も増えているが、これは発行済み株式が少なくなれば「1株あたり純資産」が上がるため、PBRが高めに算出されることになるというわけだ。
(2024年12月13日掲載)
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