オピニオン
イノベーションと伴走者
NHK「おはよう日本」で、精神疾患患者の退院後の支援について放送された。統合失調症の患者が退院後に心休まる場所がないという話で、精神科に特化した訪問看護ステーションの看護師が、患者の〝伴走者〟として寄り添う姿が放送された。日本イーライリリーと米国研究製薬工業協会(PhRMA)が共催する「第7回ヘルスケア・イノベーションフォーラム」においても、認知症患者に対して、専門家が〝伴走者〟として寄り添っていくことの重要性が指摘された。
今年9月、米国食品医薬品局(FDA)は、ブリストル・マイヤーズ スクイブの統合失調症治療薬「COBENFY」を承認した。同剤は、統合失調症に対する新規作用機序を持つ、数十年ぶりの新しいクラスの治療薬として期待されている。イーライリリーの「ケサンラ」(ドナネマブ)もアルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβを標的とする2剤目の薬剤として高い期待が集まっている。
一方で、見落としがちな視点もある。ヘルスケア・イノベーションフォーラムにおいて、認知症の人と家族の会の鎌田松代代表理事は、新規アルツハイマー病治療薬について、対象とならない患者も多いことに言及。そんな認知症患者に対して、専門家が伴走者として寄り添っていくことの重要性を指摘したのである。ともすると、私たちはイノベーションのほうに目が行きがちだ。イノベーションと患者に寄り添う環境づくり、この両輪が重要なのだと改めて考えた。
(2024年10月18日掲載)
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