オピニオン

「総仕上げ」に向けた2年へ

 日本薬剤師会の山本信夫会長が本年3月に行われる会長選挙に向け立候補を表明した。1月6日の定例記者会見の席に立場を明らかにしたもので、同日朝に業界メディアで立候補が記事化されたことを受け、自身の言葉で発信した格好だ。2020年に4期目の立候補に際しては、薬機法改正に伴う政省令への対応を課題としており、法の理念が現場まで正しく伝達していくための筋道を作ることに意欲を示していた。法改正のひとつの象徴といえる認定薬局制度(地域連携薬局・専門医療機関連携薬局)は、年度内にも1000軒に到達する状況にあり、会長立候補時に掲げた制度の浸透は一定の普及状況をみせつつある。その一方で、今回の立候補に際しては、「最も悩んだ」と会見の中で打ち明けており、「立候補としては最後になる。会長職の総仕上げのつもりで5期目を目指したい」と語った。さらに周辺からは「晩節を汚すこともないのではないか」と勇退をアドバイスされたことも言葉を続ける。突き動かしたのは直近に控える大きな話題と言えるリフィル処方箋の導入もあるだろう。これまでの分割調剤とは一線を画し、薬剤師に求められる責任感についても比べ物にならない大きさになる。奇しくも山本会長が東京都薬剤師会会長だった当時を取材した際に、「リフィル処方箋の導入」はひとつの悲願であると話していただいたことを思い出す。いずれにしても、長きにわたり航海を続ける“山本丸”は、最後の出航に向け荒波に乗り出そうとしている。



(2022年1月21日掲載)



前後のオピニオン

2022年度診療報酬・薬価改定
(2022年1月28日掲載)
◆「総仕上げ」に向けた2年へ
(2022年1月21日掲載)
経口中絶薬が承認申請
(2022年1月7日掲載)