オピニオン
さあ新会社のスタートだ
三共と第一製薬の持ち株会社「第一三共株式会社」が発足。2006年3月期の売上高予想は8945億円で、アステラス製薬を抜いて2位になる。これで国内の製薬業界は武田薬品、アステラス製薬を合わせた「3強時代」に入った。
第一三共は、国内最大規模となる2500人を超えるMRを擁し、研究開発費も国際競争に勝ち抜くのに必要といわれる1000億円を上回る規模を確保している。主力の循環器領域での新薬開発はもちろん、米国での販売力強化が課題だ。
EBMや薬価の引き下げ、ジェネリック医薬品使用促進などで、経営戦略における画期的新薬開発の重要性は、これまでよりはるかに大きくなっている。他の産業と違い、増え続ける需要があるという点はこれまで通りだが、医療用医薬品市場はより競争的になっている。強い企業目指して、大日本製薬と住友製薬が合併した「大日本住友製薬」、帝国臓器とグレラン製薬が合併した「あすか製薬」もスタートした。再編の意向を明確にしている三菱ウェルファーマの動向も注目される。
国際的合従連衡に乗り遅れてしまったのは産業政策にも要因があったが、護送船団は崩れていく。「医薬品産業ビジョン」も「申請価格協議方式」も、体力の小さい企業への配慮は見えるが、基本精神は競争だ。明らかに潮目は変わっている。業界では、さらなる再編の噂が絶えないが、世界市場で強さを発揮する、魅力的な企業が1社でも多く出現することを願っている。
(2005年10月7日掲載)
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◇日本ブランド (2005年10月21日掲載) |
◆さあ新会社のスタートだ (2005年10月7日掲載) |
◇中医協が流れた理由 (2005年9月30日掲載) |