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2024年衆議院選挙
第50回衆議院選挙が10月27日に投開票され、自由民主党と公明党の両党は公示前から大幅に議席を減らして過半数を下回り、総定数の過半数も割り込んだ。一方で野党の立憲民主党や国民民主党は議席を大きく伸ばしており、今後に向けた石破茂首相の政権運営は厳しさを増す。さらに、医薬品産業政策と関りの深い自民党議員も落選する結果となり、特に焦点となる薬価政策の動向は不透明な状況にある。
「政治とカネ」の問題で自民党に逆風が吹いた今回の衆議院選挙では、厚生労働大臣を経験した田村憲久氏や加藤勝信氏らが議席を守る一方、薬剤師の松本純氏や渡嘉敷奈緒美氏、厚生労働部会長や自民党の「創薬力の強化育成に関するプロジェクトチーム」の座長を務めた橋本岳氏らは苦戦を余儀なくされた。医師の安藤高夫氏や元厚生労働省官僚の国光文乃氏らは比例復活で当選を果たした。自民党は議席を大きく減らしただけでなく、医薬品産業を支援する議員も減少した形だ。
岸田文雄前政権では、医薬品産業を成長産業・基幹産業と位置付け、政府をあげて取組む姿勢を表明しており、前政権の政策継承を打ち出した石破茂新政権に対する医薬品産業界の期待も大きかった。日本製薬工業協会の上野裕明会長は10月8日の記者会見で「石破新政権は岸田前政権の政策を基本的に引き継ぐと仰っているし、国を守るという姿勢を強く感じている。医薬品・医療に関する産業政策にご理解を示して頂けるのではないか」と期待感を示していた。
今回の衆議院選挙の結果を受けて石破政権は、国民民主党などの野党との連立を含め、政権を維持するための政策協議を進めていくことが予想される。医薬品産業界では特に、2025年度中間年薬価改定への対応が焦点となる。年末の予算編成過程に向けて政府と与党、各ステークホルダーに加え、野党も含めた激しい駆け引きが展開されそうだ。
(2024年11月1日掲載)
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