オピニオン

相談相手としてのAI

 生成AIは、いまや私たちにとって身近な相談相手になりつつある。先日も、プロ野球巨人の阿部慎之助前監督が家族とのトラブルで警察に通報された際、娘が生成AIに相談したことが通報のきっかけになったと報じられた。人には打ち明けにくい悩みでも、24時間いつでも応じてくれるAIに相談する人は、今後さらに増えていくだろう。
 一方で、米国では今年5月、大学生だった息子が生成AIの医療アドバイスを受けた後に薬物を過剰摂取して死亡したとして、遺族が開発元を提訴したと報じられた。この大学生は、普段から宿題や日常的な疑問を解決するために生成AIを利用していたという。日常的な利用から、健康や命に関わる相談へと広がっていったことがうかがえる。
 医薬品の情報収集にも似たような傾向が見られる。くすりの適正使用協議会が行った医薬品情報に関する意識調査では、「処方された医薬品について調べる方法」として「インターネットで調べる」が62・6%で最も多かった。一方、「医師に聞く」は33・9%、「薬剤師に聞く」は42・7%にとどまり、いずれも2020年の前回調査から大きく減少している。インターネットや生成AIは、情報を得る手段として有用だが、「何を相談するか」は、十分に見極める必要がある。AIは情報を提供できても、一人ひとりの健康状態を診断することはできない。薬や健康について不安や疑問が生じたときに頼るべき相手は、医師や薬剤師などの専門家だ。その当たり前のことを、AI時代だからこそ改めて意識したい。



(2026年7月10日掲載)



前後のオピニオン

◆相談相手としてのAI
(2026年7月10日掲載)
こどもの体力が低下している
(2026年6月26日掲載)