オピニオン

喫煙者が減った後は……

 米国の喫煙率は、米国疾病対策センター調査によると1965年から2005年の40年間におよそ半減したという。そしてその陰で、大量のタバコ栽培農家が大豆やトウモロコシ栽培に鞍替えしていたのだった。周知の通り現代の米国における穀物栽培というのは、一般に考えられるような牧歌的な〝農業〟ではなく、大規模集約型のいわばバイオケミカル加工業の様相を呈しており、効率的で安定したサプライチェーンを実現するためには大量の除草剤が必須となった。また保存性の観点も併せて品種改良が進められ、ついには遺伝子組換え作物の開発が進められていった。遺伝子組換え作物については現在~未来にわたる食糧危機を救う可能性も秘めているとして期待がもたれているのだが、生態系への影響はないか、直接摂取による人体への害はないか……との問題点も指摘されている。
 多くの米国民は「身体に良かれ」と思ってタバコをやめた。元タバコ農家は大豆やトウモロコシの生産農家に転身した。口淋しくなった禁煙者は、大量生産ハンバーガーで腹を満たし肥満を来した。ところでふと思う。そのハンバーガーは遺伝子組み換えトウモロコシの飼料で育ったビーフで出来ている可能性はないか(フライドポテトも然り)。厚労省では「(遺伝子組み換えによる)新たな有害物質が作られていないことを確認している」としているが、2世代3世代後への影響は本当にないのか? 杞憂に終わればよいのだが他国のことながら心配になる。いや、これは対岸の火事ではない。「グローバル化」というのは、こうしたボーダーレスな連鎖を止めることはできない、ということでもある。これはあくまで個人的な妄想・憶測に基づいたものと断っておくが――2050年頃、大量生産穀物の長期摂取によって何らかのアンバランスを来した人たちが増え、医療従事者の出番が多くなる――なんてことが、なければいいけど。



(2012年9月28日掲載)



前後のオピニオン

健康(セルメ)川柳
(2012年10月12日掲載)
◆喫煙者が減った後は……
(2012年9月28日掲載)
世界は捨てたもんじゃない、かな?
(2012年9月21日掲載)