オピニオン

最終的には保険の話

「薬事法等制度改正についてのとりまとめ」が公表された。薬事法改正議論の焦点の一つにアクセス制度がある。参加基準に外れるなどの理由で治験に参加できない患者に対し、一定条件下で治験薬の使用を認めようという制度で、「検討部会としては創設すべきと考える」とまとめている。ドラッグ・ラグ解消を求める患者団体などは、同制度創設に向けた動きに期待する声もあるが、「最終的には保険の話になる」と、半身の構えを見せる厚労省職員も見える。
 ポスト5カ年計画の検討では、保険診療と臨床研究の整合性を求める声が見られる。たとえば、市販されている薬の組み合わせや最適な投与方法に関する臨床研究を行おうとした場合、「どこまで保険診療で行ってよいのか」といったことだ。
 がん対策推進協議会では、医薬品の適応外使用を求める声が強い。協議会を管轄する健康局がん対策推進室は、医薬食品局審査管理課の職員に状況説明を行わせたが、逆に委員から医薬食品局の問題ではないとの指摘を受けた。ちなみに同職員は「保険局ともそこはよく調整して、今後どのように進めていくか検討したい」と述べている。
 さまざまなところで医薬品の促進策が図られているが、最終的なハードルとなっている「保険」。保険適用については、「グレーのままのほうがいいこともある」と述べる職員もおり、踏み込むことに躊躇する向きが多いようだ。しかし、このハードルを越えなければ、アクセスの道は閉ざされたままだ。



(2012年2月10日掲載)



前後のオピニオン

何となく焦る
(2012年2月17日掲載)
◆最終的には保険の話
(2012年2月10日掲載)
「いつものように」で大丈夫?
(2012年2月3日掲載)