オピニオン
新たな希少がん分類を策定
国立がん研究センター中央病院希少がんセンターが、新しい希少がん分類「New Classification of Rare Cancers(NCRC)」を策定した。
希少がんは、患者数が少ないため診療・受療上の課題が他のがん種に比べて大きいと定義されており、分類では欧州で開発されたRARECARE分類を参考とすることとなっている。一方でRARECARE分類は、病気の性質や日本の発生頻度とのずれがあることなどから、日本の実臨床に即した希少がん分類の開発が必要とされていた。今般、NCRCはがんが発生することが少ない臓器31部位のがんと、がんの発生が多い臓器であるが発生が少ない特定の組織型のがん364種を希少がんに分類。また、同分類に従って全国がん登録データを解析したところ、2016年から19年に日本で診断されたがんの約2割が希少がんに該当することがわかった。なお欧州のRARECARE分類では希少がんに該当しないが、NCRCでは希少がんに該当するがんは、全がんの5・7%にのぼったという。
NCRCで新たに策定した分類は今後、厚生労働省が実施する「がん診療連携拠点病院の現況報告」や「患者体験調査」、国立がん研究センターが運営する「がん情報サービス」における情報提供などでも活用され、将来的にはアジアの希少がんの治療開発を推進する国際共同研究「MASTER KEY Asia」での利用によるアジア諸国との連携や国際がん研究機関(IARC)を通じた全世界での新しい希少がん分類の基盤とすることが考えられるという。日本の希少がんの医療体制の整備や支援策の充実などにつながり、希少がん患者の、適切な医療へのアクセスに向けた大きな期待がかかる。
(2025年6月13日掲載)
前後のオピニオン |
◇熱中症対策が義務づけ (2025年6月20日掲載) |
◆新たな希少がん分類を策定 (2025年6月13日掲載) |
◇緊急避妊薬のOTC化 (2025年6月6日掲載) |