オピニオン

いよいよスタートする「くすり教育」への期待

 4月にスタートする2012年度の新学期から、中学生の保健の授業で「くすり教育」がカリキュラムに組み込まれ、必修となる。3年生の保健体育で1~2時間を割き、医薬品の仕組みや飲み方、セルフメディケーションなどについて教育する。この「くすり教育」を義務化に先駆けて行っている筑波大学附属中学の授業を見学してきた。保健体育科の小山浩教諭は、生命の連続を阻む病に対抗するものとしての医薬品の歴史から話を始め、血中濃度についての説明を行い、用法・用量を守ることの重要性、正しい服用の仕方、主作用と副作用について言及していく。その後は、大型の模型などを用いて、腸溶錠など医薬品の構造を説明し、医薬品の分類(医療用、一般用)、剤型について、生徒に自宅から持参させた医薬品の添付文書に書いてある内容をまとめさせるなど工夫された授業だった。終盤は、薬局と薬店の違いやセルフメディケーションについて説明するなど、盛りだくさんの50分だった。
 授業後の生徒からは、「なぜ水以外で飲んではいけないかが分かった」「兄弟にも伝えていきたい」「普段読まなかった注意書きを授業を受けたことで読むようになり、用法・用量を守るようになったり、保管場所などに気を付けるようになった」との声が聞かれた。小山教諭は「総合教育や理科、家庭科などの時間と連携し、より深い教育ができれば…」と語るが、薬に対する生徒の理解は深まったようだ。このような中学生が増え、健康についての話題が家庭で増えると、さまざまな疾患の予防への取組みも前進するのではないかと、期待させられた。それにしても、自分が生徒の時は気づかなかったが、授業に臨む先生の努力は大変だろう。拍手を送りたい。



(2012年3月9日掲載)



前後のオピニオン

登録販売者の継続研修
(2012年3月16日掲載)
◆いよいよスタートする「くすり教育」への期待
(2012年3月9日掲載)
「数字は独りで歩かへんやろ」
(2012年3月2日掲載)