オピニオン
イチゴ・ヨーグルト--8000キロの旅
ドイツではイチゴ・ヨーグルトが人気で、年間30億カップが消費されているという。このイチゴ・ヨーグルトが、シュツットガルトの消費者の手に届くまでの輸送距離を、ある学者が計算した。牛乳、イチゴ、砂糖、添加物、容器などが工場に集められて製品となり、商店に陳列され、家庭に届くまでの総輸送距離は、なんと3500キロに上った。原料自体も他の場所から輸送されてきた原料や飼料で製造されることを加味すると、総輸送距離は8000キロにまで跳ね上がる。1杯のイチゴ・ヨーグルトは、さまざまな原料、物質が8000キロに渡る旅を経た成果だというのだ。まさに大量生産、大量輸送、大量消費を象徴する数字で、移動の過程で消費されるエネルギーも相当な規模だろう。
大量生産、大量消費に対して、現在では“地産地消”という考え方が登場している。地域で生産した物を地域で消費するというこの運動、省エネルギーだけではなく、地域産業の活性化にも繋がる。
私の住む地域では、隣県から農家のおばちゃんが、取れたての野菜、果物を持って行商にやってくる。お祭りやバーゲンセールの開催、商店街共通のスタンプの導入など、地元の商店街も活気がある。買い物に出かけると、店の人との掛け合いはもちろん、見知らぬ人に声をかけられることもしばしばだ。最近、「こういう生活も悪くない」と、思うようになった。
(2005年8月19日掲載)
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◇支倉常長の帰国 (2005年8月26日掲載) |
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◇社会保障予算の行方 (2005年8月5日掲載) |