オピニオン

キーマンが語る「合理的な薬価差」とは

 5月31日、都内で開催されたとある会で、丹羽雄哉衆議院議員(元厚相)は、「薬価制度は転換点にある」と述べた上で、こう続けた。
 「特許期間中は(先発品の)価値を重視し、特許期間が切れたらジェネリック薬に置き換えていくという考え方がだんだんと定着しつつある。医療保険財政のバランスを保ちながら、我が国の医薬品産業が競争力を強めていくためには望ましい方向だ。しかし新薬の薬価差は問題。薬価差は税金と保険料。(薬価改定は)今は2年に1回だが、薬価差が余りに大きいと1年に1回になる。私はいつも卸にそう警鐘を鳴らしている。薬価差はないのが正しい。薬価差がどのような幅であれば、薬価改定しなくてもいいのか、業界内で大いに議論して合理的な考えをまとめてほしい」と。
 丹羽氏は、これまで「薬価をより市場に委ねる」を持論に、薬価改定を年1回とする薬価の「頻回改定」の必要性を説いてきた。中医協でも議論されてきたが、日本医師会や製薬業界が猛反発。今年度以降も引き続き検討することが決まっていたが、そんな中での頻回改定「撤回」とも受け取れる今回の丹羽氏の発言。旗振り役の「撤回」発言だけに、頻回改定そのものが立ち消えになる公算もある。
 そこで気になるのが、丹羽氏が対案として出してきた「合理的な薬価差」の解釈。「薬価差はないのが正しい」と述べるなど、薬価差の存在を否定するような見方をしている。これについて丹羽氏は本紙取材に対し、こうコメントした。「薬価差はゼロで、とは言わない。しかし(薬剤流通の安定のための)調整幅は薬価にオンされているのに、6%、7%という薬価差はやはりおかしいと思う」。
丹羽氏が腹案する「合理的な薬価差」の姿が見えてきた。



(2008年6月6日掲載)



前後のオピニオン

食糧価格高騰と水資源
(2008年6月13日掲載)
◆キーマンが語る「合理的な薬価差」とは
(2008年6月6日掲載)
オペレッタ「登録販売者試験の憂鬱」
(2008年5月23日掲載)