オピニオン
日本人2人にノーベル賞
2025年のノーベル生理学・医学賞を、過剰な免疫反応を抑える「制御性T細胞」を発見した大阪大学特任教授の坂口志文さんが、アメリカの2人の研究者とともに選ばれた。
制御性T細胞は製薬業界においてトレンドの1つで、近年病気の治療に応用する研究が世界的に進んでいる。具体的には、免疫が正常な組織を攻撃して発症する1型糖尿病などの自己免疫疾患や、がん細胞が免疫から逃れる仕組みなどに関わっており、治療薬の開発が進んでいる。革新的な新薬の登場が待たれるところだ。
国内では中外製薬が、16年から坂口博士が所属している大阪大学免疫学フロンティア研究センターと10年間の包括連携契約を締結。同社の奥田修社長も、「免疫機構のブレーキとも言える制御性T細胞の発見は免疫学にとどまらず、幅広く医学に重要な転機をもたらす輝かしい業績だ」との喜びのコメントを発表している。
さらにノーベル化学賞の受賞者には「多孔性金属錯体」と呼ばれる極めて小さい穴を多く持った材料を開発した京都大学理事の北川進さんが選出。日本から2人のノーベル賞受賞者が生まれたのは喜ばしい限りだ。
一方で、日本の科学技術力は低下傾向にあるとも指摘され、若手研究者は厳しい研究環境に置かれているとも聞く。こうした改善されなければ、日本の科学は衰退しかねず、国力低下につながる可能性がある。日本の科学技術力を維持し、向上するにはどういった施策が必要なのか、更なる議論が必要ではないか。
(2025年10月17日掲載)
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