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国民民主党と中間年改定

 2025年度中間年改定を巡る攻防で国民民主党の動向に注目が集まっている。10月27日に投開票された第50回衆議院選挙では、自由民主党と公明党の両党が公示前から議席を減らして過半数割れを起こし、「少数与党」となったため、議席を大きく伸ばして政権と是々非々の姿勢で臨む国民民主党がキャスティングボートを握って脚光を浴びている状況だ。その国民民主党は来年度予算案に向けて、中間年改定の廃止や中央社会保険医療協議会改革を訴える。
 12月4日には財務省を訪れ、加藤勝信財務大臣に中間年薬価改定の廃止を求める緊急申し入れを実施。2016年12月に関係4大臣が決めた「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」からの環境変化を踏まえ、中間年改定の廃止や薬価制度の抜本的見直し、中医協改革の着手を求めた。斎藤洋明財務副大と面会した国民民主党の田中健衆議院議員らは記者団に対し、「(斎藤副大臣からは)業界からも薬価については大変厳しいという声は聞いているが、現役世代などの負担をどのように減らしていくかという課題もある。そのバランスを全体的に考えていきたいとの話があった」と報告した。
 申し入れではまた、安定供給基盤や創薬基盤の再構築に向けて、▽物価高騰で上昇したコストを適正に転嫁するため、長年見直しがされていない最低薬価を改める▽不適切な価格交渉が拡大し、過度な値引きが常態化している商習慣を変革すべく医薬品流通改善を促進▽度重なる薬価引き下げで製薬企業やCMO、医薬品卸の経営悪化に伴うリストラの拡大や離職者の増加を踏まえ、脆弱化した人材基盤の強化を図る▽創薬力の強化とドラッグラグ・ロスの是正を図る――ことも要請している。
 議論の場となる中医協では、製薬関連団体や日本薬剤師会の委員が中間年改定の廃止を求める一方、健康保険組合連合会の委員などの支払側は実施を迫る。診療側の日本医師会の委員は「メリハリを付けた改定を行う」として製薬団体や日薬とは歩調を合わせず、「改定を実施するのであれば、薬価財源は医療現場に還元すべき」と強調し、「国民負担の軽減に還元すべき」と主張する支払側は牽制するなど、意見集約は困難な状況にある。中間年改定の実施の可否を巡っては、政治決着に委ねられる形となりそうだ。



(2024年12月20日掲載)



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