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「AI創薬」は本当に利益を生むか

 米IT大手メタ(Meta)の第3四半期決算が注目を集めた。売上収益は好調を維持したものの、フリーキャッシュフローはマイナスへと転じた。要因は、AI(人工知能)への巨額な投資である。この決算を受け、日本を含む各市場では、AI関連事業の先行きに対する懸念が広がっている。AIへの多額の投資は今後も持続可能で、それに見合う収益の確保につながるのだろうか。先日、東京海上日動火災保険がAIロボット向けの保険を提供すると発表した。AIロボットによる事故や、高額な修理費用を補償するためだという。AIによる新たなコストやリスクへの備えが生じる一例だろう。
 以前、デジタルトランスフォーメーション(DX)が盛んに語られていた頃、ある製薬企業の担当者に話を聞いたことがある。IoTやDXの活用によって業務の効率化は進むが、それが必ずしもコスト削減につながるとは限らないという。導入すれば終わりではなく、システムの維持や更新にも費用がかかるからだ。新しい技術の導入が、必ずしも経営上の利益につながるとは限らない。
 近年、製薬企業各社も競うようにAIへの投資を進めている。創薬の効率化や研究開発の迅速化、業務改善など、AIに寄せられる期待は大きい。だが、製薬業界では「AI創薬」という言葉が一種の流行語のように使われている。AIの導入そのものが目的になれば、投資だけが膨らみ、経営を圧迫する事態にもなりかねない。技術革新の波に乗り遅れまいとするあまり、投資の効果を冷静に見極める視点を失ってはいないだろうか。



(2026年11月6日掲載)



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