オピニオン

専門家の役割

 2009年6月の改正薬事法施行により本格的に新販売制度が導入されて以降、OTC医薬品によるセルフメディケーション推進への期待が高まっている。新販売制度の本格導入に先立っては登録販売者が誕生。セルフメディケーション推進の実現においては、その担い手である薬剤師・登録販売者への期待も高まっているところだ。
 とはいえ、先に公表された厚生労働省の販売制度定着状況調査では芳しくない結果を晒してしまった専門家たち。しかしメーカー各社はメーカーCMと連動させたPOPやリーフレット、什器といった店頭販促資材の投入に加え、専門家向けセミナーの開催などを通じて、改めて販売現場を強力に支援しようと懸命だ。
 ただセルフメディケーションの推進に際しては製配販にかかわらず、「いかに当該商品を売るか」に囚われ過ぎていないこともそれなりに重要な意味を持つ。「セルフ」によるメディケーションというだけに、安易にくすりに頼らないでおくことの方が真のセルフメディケーションたりうることも実際にはあるからだ。
 「うちの店は明日も開いているし、もう少し様子を見てみては?」。例えばこんな助言の重みが理解されることで、消費者が進んで専門家を頼っていくようになるのもありだろう。OTCへの更なる理解促進のために、こうした形を歓迎していくこともまたありだろう。



(2012年5月11日掲載)



前後のオピニオン

続く「喫煙率」をめぐる攻防
(2012年5月18日掲載)
◆専門家の役割
(2012年5月11日掲載)
平等か幸福追求か
(2012年4月27日掲載)