オピニオン
ある門前薬局での風景
2月に入ってから本格的な花粉症シーズンに備え、抗アレルギー剤を服用し始めた。毎年この時期に、2~3週間に一度のペースで耳鼻咽喉科の診療所を受診し、抗アレルギー剤や点鼻・点眼薬を処方してもらう習慣が10年以上も続いている。診療所と薬局は10年近く変わっていない。何度も同じ医療機関で受診していれば、双方ともに詳細な説明が必要なくなってくるからだ。
そこへ最近になって耳鼻咽喉科だけでなく、歯科と皮膚科にも通わなければならなくなった。耳鼻咽喉科と歯科は家の近くにあるが、皮膚科は一駅離れたところにある。加えて、皮膚科の周囲には薬局が無い。処方してもらったのは、薬局での練り作業が必要な軟膏剤。とりあえず耳鼻咽喉科に近接するいつもの薬局に処方せんを持って行った。
その薬局は、いわゆる“門前薬局”であるため、皮膚科医が処方する軟膏剤などは当然備蓄をしていない。薬剤料もわずかであり、断られることを想定していたが、その薬局の女性薬剤師は「少々お待ち頂けますか」と言って近くの薬局に薬を買いに走り出した。
薬を買って戻ってくると、今度は薬局で練り作業が始まる。調剤に費やす時間はいつもより長い。別の女性薬剤師が申し訳なさそうに「もう少しで終わりますから」と言ってお茶を差し出す。全ての調剤作業が終了し、会計を済ませて薬局を出ようとすると、女性薬剤師は「次はもっと早くお薬をお渡しできるように努力します」と頭を下げた。とりあえずは、今後もその薬局で調剤をお願いしようと思っている。
(2012年4月6日掲載)
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