オピニオン
スイッチ促進と薬剤師
「スイッチOTC薬の拡大は薬剤師が管理を徹底できるかがポイントだと思っている」――。厚生労働省の薬事・食品審議会一般用医薬品部会の委員を務める宗林さおり氏はこのように語る。だが、キーパーソンとなるべき薬剤師には、いまだそうした意識はみられない。
スイッチOTC薬の拡大が一向に進まない背景にあるのは、日本医師会の委員をはじめとする医療関係者が強硬に反対しているためだ。医師の間では「薬剤師にリスクの高い医薬品を任せられない」という懸念が強い。
言うまでもなく、スイッチOTC薬が果たす社会的な役割は、厳しい医療財政のなかで膨張する薬剤費を削減するところにある。生活習慣病領域のスイッチ化に関しては特に期待が大きい。しかし日医の幹部は「服用しなくてもいい医薬品を永遠に患者が使用することに繋がりかねず、大きな意味で医療費の無駄になるだけだ」と反論する。
こうしたなか、薬剤師がOTC薬の販売時に「適切な情報提供」を行っているかどうかを調べた調査結果が公表され、全体の約7割が適切な説明を行っていない実態が明らかとなった。これには厚労省の幹部も「一体何をやっているんだ」とあきれ顔だ。
「スイッチOTC薬の拡大に向けた受け皿」(厚労省)として、情報提供の強化を柱とする改正薬事法が施行されてからすでに約3年が経過した。今回の結果を受けて日本薬剤師会の幹部は「この結果をみても(スイッチ促進は)難しいだろう」と呟いた。
(2012年2月24日掲載)
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