オピニオン

武田薬品とサンバイオ②

 新薬開発は非常に難しいということを改めて実感した。何のことかというと、サンバイオが開発中の再生細胞医薬品「SB623」が、慢性期脳梗塞対象のフェーズ2b試験において、主要評価項目を達成しなかったのだ。外傷性脳損傷を対象としたフェーズ2試験では主要評価項目を達成、慢性期脳梗塞も問題ないだろうと思っていた。ところが、である。この主要評価項目未達の一報を受け、サンバイオの株価は急落した。サンバイオ株は、外傷性脳損傷での主要評価項目達成後に連日ストップ高となり、3600円台から1万2000円超の水準まで急上昇。それが一転、今度は連日ストップ安となり、5営業日ぶりに売買が成立した2月5日の終値は2620円となった。
 オピニオンでは先日、武田薬品とサンバイオの株価に関して記事にした。国内最高額となる約7兆円(実際には約6兆円)のM&Aを行う武田薬品の株価は右肩下がり、一方でサンバイオ株は急上昇し株価は逆転。大型M&Aよりイノベーションのほうが評価は高いのではといった内容だ。では、現在の武田薬品株を見ると、2月5日の終値は4314円。同社の株価としては安値圏での推移だが、サンバイオ株と比較すると逆転している。
 両社を比べてどうこう言うことはできないが、ある意味、これは当然だ。武田薬品は国内トップの売上を誇る製薬企業で、シャイアー買収によりグローバルでもトップ10入りした。サンバイオはまだ売上が立ってなく、株価の変動は期待値のみだ。M&Aにより有力なパイプラインと強固な販売基盤を獲得することは、地に足のついたビジネスと言えるのかもしれない。



(2019年2月15日掲載)



前後のオピニオン

増税対応改定の官報告示時期
(2019年2月22日掲載)
◆武田薬品とサンバイオ②
(2019年2月15日掲載)
「言葉を味わう」
(2019年2月8日掲載)