オピニオン
「株」の話題は尽きない
新進気鋭の経営者が率いるライブドアと、古き良き伝統・マスメディアの使命を掲げるフジテレビとのニッポン放送株を巡る綱引きは、いよいよ法廷での闘いにまで発展した。経済界や政界など様々な方面を巻き込み連日報道されているこの騒動は、「株」というマネーゲーム、あるいは資本主義の構造について国民が考え、学ぶための良い機会であることは間違いない。
見渡せば、外資系企業による日系企業買収の起爆剤と言われ、06年施行の公算高い会社法も「株」が重要な要素であるし、西武グループ“堤王国”の崩壊も西武鉄道の「株」に端を発している。つくづく、日本経済を動している「株」という存在の大きさを実感する。
日本の株式会社の起源を見ると、坂本竜馬が設立した海援隊をその第1号とする説や、渋沢栄一の第一国立銀行をそれとする説がある。いずれの立場を採るにせよ、既に100年以上も昔の話である。「株」が、現代の日本経済においてこれほどまでに重要な役割を担っていることを、当時のどれだけの人々が予見できたであろうか。
製薬業界では、まさに国内企業再編の真っ只中。つい最近では、三共と第一製薬が今年10月に持ち株会社「第一三共株式会社」を設立し、経営統合への道を歩むことを発表した。ただ、この第一三共株式会社の株式は、三共1株に対して1株、第一製薬1株に対して1.159株を割り当てるというもので、早くも三共の株主からは不満の声が挙がっているという。「株」の話題は、大小こもごも尽きることはない。
(2005年3月11日掲載)
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◇「個人情報保護法」が追い風に (2005年3月18日掲載) |
◆「株」の話題は尽きない (2005年3月11日掲載) |
◇国内製薬企業再編の背景に関する 考察 (2005年3月4日掲載) |