オピニオン
SaMDへの期待
ここ5年くらいだろうか、仕事上で“SaMD”という言葉をみかけるようになった。SaMDは「Software as a Medical Device」の略称で、日本では元々、医療機器としての機能を有するソフトウェアのうち、ダウンロード又はクラウド上のソフトウェアを使用する「医療機器プログラム」のプログラム単体のことを指していたが、最近では、この医療機器プログラム又はこれを記録した記録媒体を含めた概念の「プログラム医療機器」も指すようになった。
国の「経済財政運営と改革の基本方針2025」(骨太方針2025)にはSaMDの単語こそみられないものの、「中長期的に持続可能な経済社会の実現」の項において、「ドラッグラグ/ロスの解消やプログラム医療機器への対応を進める」や「治療機器やプログラム医療機器を始めとした日本発の医療機器の創出を促進する」といったプログラム医療機器に関する記述もみられ、経済再生に向けた重要な要素の1つとして認識されている。
医療現場においても、機械学習(ML)で成長し続ける人工知能(AI)を用いたSaMDに対する期待感は高まっているが、その規制の在り方については厚生労働省を含め、各所で議論が続いている。世界規模で成長が見込まれる分野であるが、日本では薬価制度がネックとなって参入が進まないという見方もある。日本はこの分野を牽引できるのか、今後も注目していきたい。
(2025年9月19日掲載)
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