オピニオン

高市トレード

 10月21日、自由民主党総裁の高市早苗氏が総理大臣に指名され、日本初の女性首相が誕生した。この政治的な節目に続き、その翌週の10月27日には、日経平均株価が史上初めて5万円台を突破し、現在もその水準で推移している。この一連の株高は、日本初の女性首相誕生に加え、80%を超える高い支持率、高市政権が掲げる「積極財政」を中心とした経済政策への期待、さらにはトランプ米大統領との首脳会談の成功といった外交成果も相まって、市場では「高市トレード」と称されている。
 また、実際に株高をけん引しているのはAI(人工知能)や半導体関連銘柄となる。一方で、AIはまだ成長の初期段階にある市場であるほか、国内の半導体市場はAI需要にけん引されている形だ。高市トレードと並んで「期待値」が株価を押し上げている感は否めない。今は、AI・半導体関連銘柄への買いも一息つき、買い気配は割安株に波及しているというが、これまでの流れは「期待先行バブル」ではないかと警戒する声も聞かれる。「大きな期待」は「失望」と裏表なのである。
 医薬品銘柄も、高市トレードに沿って概ね上昇基調にある。製薬業界は、薬価制度や規制承認もあり、とくに政策に依存する傾向が強い業界だ。期待感に支えられる高市トレードが終息を迎えた場合、市場がどう反応するのか少し心配でもある。



(2025年11月21日掲載)



前後のオピニオン

長期収載品とOTC類似薬
(2025年11月28日掲載)
◆高市トレード
(2025年11月21日掲載)
「広報コーディネーター」の成果
(2025年11月14日掲載)