オピニオン

新人と新型

 初めてこの『オピニオン』に掲載する原稿を書いている。1月下旬から薬事ニュース社でお世話になっている新入社員であるが、既に薬業界では約20年にわたり記者としての経験があるので、ピカピカの一年生という訳ではない。ただ、新しい環境と対人関係の構築もあり、ある程度予測していたとはいえ、改めて苦労が絶えない日々を送っている。そんな中、入社とほとんど同じタイミングで新型コロナウイルス感染症は取材ノートに登場した。1月下旬の記者説明会のメモには、「原因不明の肺炎対応」で、検疫所における検査体制を整えることや中国当局からは散発的な情報提供に留まっているなどの状況が記されている。ただ、記者対応などは週に1回程度に過ぎなかった。風向きが明らかに変わったのは2月に入ってから。国内における感染者の確認が相次ぎ、クルーズ船への対応、学会・団体の大会や会合が中止に追い込まれるなど、連鎖するように今現在まで未知のウイルスは猛威を振るっている。ノートを振り返ると、昨年末に記した今年へのメモは改正薬機法の施行を踏まえた取材、さらにはオリパラ開催を控えた企画など、どちらかというとポジティブな変化に胸を躍らすことを楽しみにしていた。しかし実際の2020年の4月はどうだろうか。わずか3カ月前からは想像もできないほど世界が変わった。テレビで安倍晋三首相が緊急事態宣言を発令する姿を在宅勤務の傍らで見ながら、コロナ禍に覆われる現状の一端をお伝えできればと思う次第だ。



(2020年4月17日掲載)



前後のオピニオン

我慢の日々のしのぎ方
(2020年4月20日掲載)
◆新人と新型
(2020年4月17日掲載)
バッタによる大厄災
(2020年4月3日掲載)