オピニオン

業界の成長ドライバーはDgs

 日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は8月8日から10日の3日間にわたり、「JAPANドラッグストアショー」を東京ビッグサイトで開催し、延べ10万人を超える来場者が会場に足を運んだ。開催地を幕張メッセから東京ビッグサイトに移転してから4回目となる今回のショーでは、出展社398社、1302小間の規模となり、ドラッグストア(Dgs)業界の悲願であった売上高10兆円突破を飾る華々しい開催となった。Dgs業界の成長は右肩上がりを継続している。ショーで公表された「2024年度業界実態調査」によると、総店舗数は約2万3700店、1店舗あたりの売上高は初めて4億円を突破した。10兆円のカテゴリー別売上では、「調剤・ヘルスケア」が33%、「フーズ・その他」28%、「ホームケア」20%、「ビューティケア」18%で、バランスの取れた状況が数字の上からも示され、その成長を支えるのは商品力であることは疑いようがない。処方箋調剤の分業率が全国平均で8割を超え、業界として頭打ちに差し掛かっている調剤薬局チェーンとは対照的な状況を迎えている。JACDSの調査では、女性は平均で週2回以上Dgsに来店することが明らかになっており、Dgsが日常生活に欠かすことのできない施設となっているという。当然、コロナ禍明けから好調なインバウンドも売上げを後押ししていることは言わずもがなだ。そんな好調な業界であるが、向こう40年は続くとされる人口減少社会に向けた準備にもいち早く乗り出している。ウエルシア薬局は独自に移動販売車を各地で展開し、過疎地域のみならず、高齢化や公共交通機関が少ない地域にも販売車を稼働させ、Dgsによる利便性を提供している。また業界としてラストワンマイルの輸送問題にも対応に乗り出しており、共同物流体制の構築にも着手している。JACDSの塚本厚志会長は様々な場面で「生活者の支持」を得ることの重要性を指摘しており、業界として長年継承されてきた「利用者目線」重視のスタンスが、「これまでの成長」と「これからの成長」の起点であることを繰り返し強調している。ショーでは、Dgs業界の現状を打ち出すには、十分過ぎるほどの輝きを放っていた。



(2025年9月5日掲載)



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