オピニオン

「ボヘミアン・ラプソディ」

 英国が生んだ至高のロックバンド〝クイーン〟。そのリードボーカルを務めたフレディ・マーキュリーが亡くなってから、この11月で早27年が過ぎた。彼の死が、後天性免疫不全症候群すなわちエイズが元になったということはよく知られている。
 当時はまだエイズに対する正しい知識が広まっておらず、拡大の一途を辿っていた。また、治療薬も開発されておらず、患者は世間からの偏見と戦いながら自らの死と向き合わなければならなかった。今では、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)への感染がエイズを引き起こすことが知られるようになり、HIVに感染したとしても、治療薬でエイズの発症をある程度制御することが可能になった。いちファンとして、あの時代に正しい知識が普及していれば、また治療薬が開発されていれば、彼が45歳という若さで命を落とすことも無かっただろうにと残念に思う。エイズという観点から日本の状況をみると、この10年ほどは新規のHIV感染者やエイズ発症者の報告はほぼ横ばいで推移している。無症候期の長さや報告システムの問題を考慮すると実数はさらに多く、楽観視できる状態ではないという。
 そういえば、今日本では「ボヘミアン・ラプソディ」という、クイーンそしてフレディの伝記的な映画が公開されている。彼らを知らない人でも存分に楽しむことができる大人のエンターテイメントとなっているので、この機会に映画館に足を運んでみてはいかがだろうか。



(2018年12月7日掲載)



前後のオピニオン

武田薬品とサンバイオ
(2018年12月14日掲載)
◆「ボヘミアン・ラプソディ」
(2018年12月7日掲載)
消費税率引き上げをめぐるあれこれ
(2018年11月30日掲載)