オピニオン

薬剤師の卒後臨床研修

 医師と同様に薬剤師にも卒後臨床研修を義務化すべきとの意見が、厚生労働省の「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」で相次いでいる。9月11日の会合でも「薬剤師も臨床研修を行えば、その段階で医師とともにお互いの業務を知ることができる」(患者代表委員)、「卒後すぐに薬局・ドラッグストアで勤めるのではなく、医療機関で臨床研修を行えば、医師や看護師とともに患者をしっかりとみることができる」(日本医師会委員)といった声が続出した。
 卒後臨床研修の義務化はこれまでにも、薬剤師の資質向上を目指す観点から、医師の国会議員などを中心に提言されていたが、薬局・薬剤師の機能強化策を盛り込んだ医薬品医療機器等法改正の公布から、特にこうした声が目立つようになってきた。背景には、高度な薬物療法への関与といった社会的なニーズもあれば、医療機関の薬剤師不足解消に繋げたいとの思惑もある。
 厚労省のなかでも、医療機関での卒後臨床研修の義務化に賛同する幹部級の薬系技官は少なくない。特に薬局・薬剤師の在宅医療への参画が強く求められているなかで、「病院での臨床経験がない薬剤師には難しい。6年制教育だけではどうしても足りない」という意見は、様々な場面で聞かれる。社会から期待される薬剤師の役割自体も、がん化学療法などの関与や、麻薬・無菌製剤の調剤応需といった高度な薬物療法への対応にシフトしつつある。医療機関での卒後臨床研修の必要性を巡っては今まで以上に、さまざまな方面から検討を求められてくるだろう。



(2020年9月18日掲載)



前後のオピニオン

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(2020年9月25日掲載)
◆薬剤師の卒後臨床研修
(2020年9月18日掲載)
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(2020年9月11日掲載)