オピニオン
結論まで3時間の審議とは?
先日、一般紙の1面にも報じられ、国民的にも大きな関心を呼んだ「イレッサ問題」。検討会は、適正使用の推進を強化する一方、使用制限等については「特別な措置を講じる必要性には乏しい」という結論を下した。本剤については、副作用で死亡したとされる報告が588症例ある一方で、「イレッサのおかげで助かった」という患者の声があるのも事実。今回発表された臨床試験の結果をどう判断すべきか、委員の見解も分かれていた。
一方、本検討会は、審議会自体のあり方についても考えさせられるものであった。検討会終了後、傍聴していた記者らが平山安全対策課長を囲い、激しく抗議。その内容は審議の進め方についてであった。今後のイレッサへの対応は、当然検討会における各委員からの意見を踏まえた上で、結論を下すというもの。しかし、その結論は審議が始まる前からあたかも決まっていたかのようだった。
取りまとめにおいては、議論終了後、座長や事務局等が別室に移り実施。その間約15~20分で、結果、配布された取りまとめ資料は、あらかじめまとめてあったかの如く、きれいに整理されているものだった。確かに「結論がどっちに転ぶか分からないものは公開しない」(行政関係者)と言うように、影響が大きく且つ重要事項を決定する際には非公開で行うという主旨は理解できなくもない。しかし、今回の検討会はあくまでも「公開」。「結論に至るまでの3時間の審議は、何だったのか」。疑問が残る検討会であった。
(2005年2月4日掲載)
前後のオピニオン |
◇審査期間短縮への道のり (2005年2月11日掲載) |
◆結論まで3時間の審議とは? (2005年2月4日掲載) |
◇職務発明とその対価 (2005年1月28日掲載) |