オピニオン
総額管理、欧米に続くか
2005年度政府予算案が決定したのも束の間、予算編成の主導権を握る経済財政諮問会議、財務省の視線は既に06年度予算に注がれている。そして、その視線の先にあるのは社会保障関係費の抑制策だ。
05年度もそうであったが、社会保障関係費の予算を組む際、先に上限額が閣議決定される手法が取られて久しい。遡れば、1997年に財政構造改革法を制定した橋本政権時代に突き当たる。上限制導入の理由は、偏に社会保障関係費が人口高齢化の進行等により、自然に毎年1兆円規模で膨大している現状にある。この事が保険財政を、延いては国家財政をも圧迫しているからだ。
財政破綻が叫ばれながら今日まで持ち堪えているのは上限制予算のお陰だといえよう。しかしこの手法、実態はその場凌ぎの小手先のものでしかない。厚労省は毎年上限額を突き抜けた自然増分の財源の捻出先を探すのに奔走。これまでに診療報酬・薬価等改定や被用者保険本人の患者負担の引き上げ、薬剤別途負担導入等でなんとか繕い、05年度予算は三位一体改革で救われた。
そして06年度予算編成に当たる今年。捻出先の大きな拠り所である診療報酬等改定の財源効果が期待薄となった今、政府が導入を目論んでいるのが「社会保障給付費の総額管理」だ。小泉政権誕生後、諮問会議の民間議員は政府に進言するも医療系団体等の反対で見送られてきたが、今回は、06年度予算への導入を睨み、年明けから具体的な管理手法の検討に着手していくと意欲的だ。果たして欧米に続いて日本でも導入となるか。
(2005年1月14日掲載)
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