オピニオン

気がつけば、ニューエコノミー

 ホワイトナイト(※1)、パックマン(※2)、グリーンメイラー(※3)にLBO……。新作ゲームのキャラクターではない。大企業・フジテレビとベンチャー企業・ライブドアの一連の諍(いさか)い過程で出てきたM&A言語を並べた。ひと段落して改めて振り返り、これから、ということで中でもLBO(レバレッジド‐バイアウト)に注目してみたい。
 先ごろ話題となった株式交換によるM&Aは、高株価企業等が現金を使わずに買収を行える手法だが、LBOは、資金にレバレッジ(てこ)を効かせることで、中小ベンチャーでも流動資産を潤沢に持つ大企業等を買収できる手法。前者はガバッと呑みこむクジラだが、後者は自分の頭より大きな獲物を顎関節をはずして丸呑みするキング・コブラのイメージか。
 米国などでLBOは、ベンチャー企業の巨大化戦術としてよく使われる。本邦では米系投資会社による通信会社の買収事例もある。が今回、可能性を見出した外銀系投資家などから巨額融資をうけたライブが動いたということで、海外同様、中小ベンチャーによる下克上の扉が開いたともいえる。ライブは結局、グリーンメイラーだったが、この2社の相克は企業再編手法が複雑化、高度化するのに寄与した、というのもうなずける。
首級(くび)を狙われる企業にとっては、斬りつけてくる刺客の層と武器の種類が増したわけだ。ま、それもまた市場経済?
(※1:白馬の騎士。友好的買収企業。※2:ディフェンス。逆買収。※3:買い集めた株式を高値で買い取るよう当該企業らに迫る買収者)



(2005年6月10日掲載)



前後のオピニオン

インドの医薬品市場の強み
(2005年6月17日掲載)
◆気がつけば、ニューエコノミー
(2005年6月10日掲載)
M&AとR&D
(2005年6月3日掲載)