オピニオン

新診療科名に「睡眠障害」

 内科や外科など医療機関が掲げることができる診療科名に、新たに「睡眠障害」を加えるかどうかの検討が進んでいる。厚生労働省の医道審議会医道分科会診療科名標榜部会で審議を開始。単独で標榜可能な診療科名と組み合わせて標榜できる用語として「睡眠障害」を追加し、医療機関が「睡眠障害内科」「睡眠障害精神科」「内科(睡眠障害)」「精神科(睡眠障害)」などを標榜できるようにする。診療科名の追加・見直しは08年以来の約17年ぶりとなる。
 医療機関が看板などに広告できる「標榜診療科名」を巡っては08年4月に、患者・住民が自分の病状にあった適切な医療機関の選択を支援するために拡大した。改正前は「内科」「心療内科」「精神科」「神経科」「呼吸器科」など具体的な「標榜診療科名」を限定して列挙していたが、改正後は「内科」「外科」「精神科」「アレルギー科」「リウマチ科」「小児科」「皮膚科」といった単独で広告可能な診療科名に加え、これらと一定の事項を組み合わせた診療科名も標榜できる仕組みに変更した。
 「標榜診療科名」は医療法に基づき、一定の基準に従って医学医術に関する学術団体の意見や、医道審議会医道分科会診療科名標榜部会で総合的に判断して定める。一定の基準とは▽独立した診療分野を形成している▽国民の求めの高い診療分野である▽診療科名がわかりやすく国民が適切に受診できる▽国民の受診機会が適切に確保できるように、診療分野に関する知識・技術が医師に普及・定着している――の4点になる。
 「睡眠障害」を「標榜診療科名」に加えるように要望した日本睡眠学会は、精神神経学会、呼吸器学会、循環器学会、神経学会、耳鼻咽喉科頭頚部外科学会、小児科学会の賛同を得た上で、「睡眠障害」が4つの基準に該当していると判断。日本人の5人に1人が睡眠に問題を抱えており、適切な診療に辿り着けていない現状を問題視し、「標榜診療科名」に追加されれば医療アクセスが改善され、早期の治療が可能になると主張する。厚労省では来年3月頃に議論を取りまとめ、パブリックコメントの募集を経て改正法令の公布・施行に繋げたい考えだ。



(2025年10月3日掲載)



前後のオピニオン

総裁選で診療報酬引き上げに言及
(2025年10月10日掲載)
◆新診療科名に「睡眠障害」
(2025年10月3日掲載)
近視進行予防元年
(2025年9月26日掲載)