オピニオン
ワクチン誤情報の影響を数理モデルで解析
新型コロナウイルスの感染がまた増加している。東京都によると、8月10日までの1週間に、医療機関から報告された新型コロナの患者数は、1つの医療機関あたり平均で4・7人。8週連続の増加だ。
少し前になるが、東京大学はワクチンに関する誤情報が新型コロナウイルス感染症のワクチン接種率、死亡者数に及ぼした影響について、数理モデルを用いた反実仮想シミュレーションによって明らかにしたとのリリースを発表した。
研究チームは、ワクチン導入が1カ月早ければ2571人、3カ月早ければ7003人の死亡を防げたと推計した。一方、1カ月遅れていればさらに4796人、3カ月遅れていれば2万2216人の死者が追加で発生していた可能性があると指摘した。
また、研究チームは「ワクチンの有効性は捏造されている」「政府はワクチン接種と自閉症の関連を隠蔽している」といった誤情報の拡散と接種行動の関連も解析。約3万人を対象に実施されたアンケート調査などをもとに、誤情報を信じているワクチン受容者が接種を忌避していた場合、接種率は76・6%まで低下すると計算した。誤情報への対応がうまくいかず接種率が低下した場合、死亡者数は1020人増えると予測。一方で誤情報を信じていたワクチン忌避者が、信じていなかった人と同程度に接種していれば、431人の命を救えていたとする。
誤情報の影響の程度を定量化できるとは非常に驚きで、ぜひとも様々な分野にも応用してもらいたい。
(2025年8月29日掲載)
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