オピニオン

薬機法改正案を巡る動向

 「今通常国会での法案成立は難しいのではないか」――。医薬品の新たな承認制度や薬局の機能別認定制度の構築などを柱とする「医薬品医療機器等法改正案」が衆議院厚生労働委員会で審議入りするなか、厚生労働関係に深く携わる自民党の衆議院議員はこのように呟いた。
 今通常国会で厚生労働省が提出した法案は薬機法改正案のほか、「医療保険関連法案」「障害者雇用促進法改正案」「女性活躍推進改正案」「児童福祉法改正案」の計5本。「これまでの国会での提出法案数と比較しても決して多くはない」(厚労省医薬・生活衛生局幹部)との状況にあるなか、いわゆる「勤労統計問題」の影響などもあり、薬機法改正案の審議入りは終盤にもつれ込んだ。
 7月に選挙を迎える参議院に法案を送っても、成立しなければ「廃案」となってしまうため、衆議院では審議日程の調整に神経を使っており、「今通常国会では『継続審査』に留めておき、秋の臨時国会で成立に漕ぎ着ける」との選択肢も浮上している。厚労省でも同様の事態を想定する関係者はいる。
 衆議院厚生労働委員会の筆頭理事を務める自民党の後藤茂之衆院議員は記者団に対し、「参院で通せない法案を送るわけにはいかない。参院の様子を見ながらバランスよく進めていきたい」と話す。会期延長や衆議院解散など様々な憶測が飛び交うなか、後藤衆院議員は「政争の対象にはなっていないため、あくまでも日程の問題だ」と記者団に強調した。



(2019年6月14日掲載)



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