オピニオン
審査期間短縮への道のり
「早く何とかしてもらわないと」。ある新薬メーカーの関係者はこうぼやいた。医薬品の承認審査が、依然として遅れ気味である現状を指しての言葉だ。こうした声は国内メーカーばかりではなく、外資系メーカーからも一致して聞かれる。治験前相談ですら「半年待ちの状態」(関係者)というのだから、メーカーが悲鳴を上げるのも無理はない。
医薬品医療機器総合機構が鳴り物入りで設立されてから、間もなく1年が経とうとしている。スタート当初の混乱状態からは脱したようだが、スタッフの確保に難航するなど、依然、業務が軌道に乗ったとは言い難い状態にあるという。
折りしも厚労省では、特定療養費制度を活用した「未承認薬」の治験についての検討が始まった。「海外では承認されているのに、国内では未承認のため、費用は全額自己負担になる」という患者の切実な声に応える意味では、この制度は一定の評価はできる。が、製薬業界からは、「基本的には海外で承認されているものであれば、海外データも活用して承認を急ぐべき。むしろ、治験という形だけをつくって、徒らに審査が長引くことのないようにしてほしい」という憂慮の声が挙がっているのも事実だ。
21世紀のリーディングカンパニーとして期待される製薬産業、その命綱とも言えるのが新薬である。企業側は多大なコストとリスクを背負っている。行政側が、一刻も早くこれに応えることを願いたい。
(2005年2月11日掲載)
前後のオピニオン |
◇せまる外資による株式交換M&A (2005年2月18日掲載) |
◆審査期間短縮への道のり (2005年2月11日掲載) |
◇結論まで3時間の審議とは? (2005年2月4日掲載) |