オピニオン

日医君考

 白衣を着た犬。毛は橙。堂々と2本足で立っている。首には聴診器、医師なのだろう。ただの医師ではない、「日医君(にちいくん)」だ。約16万7000人の会員を代表(?)する、日本医師会のイメージキャラクターだ。
 日医君は今年1月に発表された。戌年にかけたのだろうか。かける理由もないので違うと思う。犬のキャラクターなど巷に溢れている。深い意味などあるはずもない、というのは素人考えだった。
 日医によれば、犬であることには「古来より人と共に暮らし、"人々に寄り添う"という点で、日医の活動の理念と相通ずる」「自分より大きな動物にも立ち向かう勇敢な性格と言われ、病の克服に向けて闘う団体にふさわしい」との意味があるらしい。
 とすれば、どうやら日医君は飼い犬のようだ。野良犬の医師というのもゾッとしないので、結構なことだろう。"人々に寄り添う"犬のイメージには、「かかりつけ医」の理想も託されているのかもしれない。
 日医君は1300超のライバル(=応募作品)に勝利し、その座を得た。これまで見てきた通り、アイデンティティーも確かだ。彼に対抗できるキャラクターがいるとすれば、「日薬君(にちやくくん)」しかないだろう。
 というわけで、日本薬剤師会もキャラクターを作ってはどうか。犬に対抗して猿、では悪趣味なので、素直に猫。可愛らしさでは犬に後れを取らないはずだが、「かかりつけ薬剤師」にはなってくれそうもないのが苦しい。



(2018年2月16日掲載)



前後のオピニオン

「オリンピック」と「ネキシウム」
(2018年2月23日掲載)
◆日医君考
(2018年2月16日掲載)
聞こえなかった声
(2018年2月9日掲載)