オピニオン

球界の盟主の大胆な補強

 今冬のプロ野球のストーブリーグはトレードと大物選手のFA移籍が相次ぎ、例年になく面白かった。特に注目を浴びたのが、球界の盟主といわれる巨人の動きだろう。例年のごとく大型補強を敢行し、FAで広島カープから丸佳浩外野手、西武ライオンズから炭谷銀仁朗捕手を獲得。FA以外にも岩隈久志投手や中島宏之内野手などを獲得した。
 しかし、FA移籍に伴う「人的補償」(FA移籍選手の補償として、移籍金の代わりに選手を獲得すること)で生え抜きのベテラン、内海哲也投手と長野久義外野手が流出。投打の精神的支柱であり、ファンからの人気も高く、まだまだ一線級で活躍している両選手がプロテクトから外れると予想した人間はほとんどいなかっただろう。両選手ともドラフト会議では他球団に指名されたが、巨人以外の入団を拒否した経緯がある。そんな選手がプロテクトから外れたのは皮肉というほかない。SNSでは今回の流出に対し、否定的な意見を述べているファンが多く見受けられるが、当然の反応だろう。巨人から人的補償で流出した若手選手の他球団での活躍が、有望な若手のプロテクトにつながったのはよく分かる。しかし、ファンの心理に大きな影を落としているのも事実。結果的に純粋な戦力面でそこまでプラスになったのかという意見もある。
 一方、菊池雄星投手がメジャーリーグに移籍し、先発左腕の獲得が急務だった西武と丸選手を失った広島にとってこの人的補償は、これ以上ない補強だ。経験豊富なベテランの加入は必ずチームにとって良い影響を与えるはず。両選手には古巣が流出を後悔するぐらいの活躍を期待したい。今シーズンの巨人の開幕戦は奇しくも広島戦。大きく注目される開幕となるはずだ。



(2019年1月25日掲載)



前後のオピニオン

「迷路のなかで」
(2019年2月1日掲載)
◆球界の盟主の大胆な補強
(2019年1月25日掲載)
酒は百薬の長
(2019年1月18日掲載)