オピニオン

注目が集まる「敷地内薬局」の動向

 医療機関が敷地内に薬局を誘致・開設する、いわゆる「敷地内薬局」の新設に向けた動きが止まらない。国立大学附属病院などの42大学45病院で構成される「国立大学附属病院長会議」の常置委員会は10月5日に会見を開き、「敷地内薬局」の設置状況について報告した。すでに12の国立大病院で「準備・検討中」にあるほか、会見に列席した名古屋大病院の病院長も、自身の病院が「検討中」にあることを明かした。
 「『敷地内薬局』であれば、雨が降っても濡れずに済むなど患者にとって利便性は非常に高い」――。常置委員会の山本修一委員長(千葉大学医学部附属病院長)は会見の中で、「利便性」というキーワードを何度も繰り返し主張した。さらに、東京大学医学部附属病院の病院長は「現在でも(院外処方せんの)約65%は『門前薬局』以外に行っており、(『かかりつけ薬局』の推進という)大きな流れには変化がないと思う」と述べ、国策には反していないと強調している。
 こうした中で日本薬剤師会は、医療機関からの経済的・構造的・機能的な独立を前提とする医薬分業の推進に逆行するとして、一貫して反対姿勢を鮮明にしているが、会内には「敷地内薬局」を容認する向きもあり、決して一枚岩とは言えない状況だ。医薬品医療機器等法改正に向けて、薬局の機能として「高度薬学管理機能」を備えようとする動きも見られるなか、「敷地内薬局」を巡る動向に、今まで以上に注目が集まりつつある。



(2018年11月9日掲載)



前後のオピニオン

浸透
(2018年11月16日掲載)
◆注目が集まる「敷地内薬局」の動向
(2018年11月9日掲載)
アンジェリカ効果
(2018年11月2日掲載)