オピニオン

高額医薬品の販売包装単位

 高額医薬品の販売包装単位を巡って薬局の現場から問題提起されている。3月の中央社会保険医療協議会・総会で森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、新薬の薬価収載に関する議論で「高額医薬品の包装形態については、処方形態に合わせた最小の数量になるようにお願いしてきた。高額医薬品の増加によって現場では、管理コストや廃棄損耗に対する負担感が高まっている。製薬企業には高額医薬品を含め、医薬品の地域への供給に支障が生じないように適切な対応をお願いしたい」と発言。次期薬価改定で何らかの措置を講じてはどうかとの提案も行った。
 会合では、日本新薬の肺動脈性肺高血圧症治療薬で小児製剤を追加した「ウプトラビ錠小児用0・05mg」(一般名:セレキシパグ)を例にあげながら説明。「ウプトラビ錠は投薬による有害事象の発生の有無を確認しながら投与する必要がある。既存の0・2㎎錠は30錠包装で販売されているが、今回の0・05㎎は1瓶500錠ボトルしか販売されていない」と指摘した上で「仮に治療開始直後に副作用のために中止となると、そもそも対象患者数が少ないことから、残りの472錠はそのまま廃棄となるおそれがある。そうなると薬価は1錠443・5円のため、約21万円にもなり、これが医療機関・薬局の損失になる」と訴えた。
 薬局の現場では高額医薬品の不動在庫が経営面で問題となっている。森委員は「製薬企業には高額医薬品を含め、開発段階から現場での使用実態に合わせた開発をお願いしたい」と要望し、さらに「次期改定に向けた議論の中で製薬企業の対応を促す観点から、減算も含めた薬価上の評価など考えられる必要な措置を取り上げて頂きたい」と踏み込んだ。同じく診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)も「病院などでも高額医薬品の管理で、特に在庫・廃棄が生じた場合には大変大きな損害になるので検討をお願いしたい」と同調している。次期改定に向けた検討項目に載せられるかどうかはともかく、今後も議論のなかでの1つの焦点になりそうだ。



(2025年4月4日掲載)



前後のオピニオン

医薬品への関税
(2025年4月25日掲載)
◆高額医薬品の販売包装単位
(2025年4月4日掲載)
二院制の意義
(2025年3月28日掲載)