オピニオン

希少疾患から考える

 毎年2月28日は希少疾患の啓発を行う「RARE DISEASE DAY」。この日に先立ち、先天代謝異常の一つ「ムコ多糖症」の患者家族である田島さんの話を聞く機会を得た。
 次男が患者であり、普段から道行く人に振り返られることが多かったが、ある時から「振り返ってくれてもいい」と思うようになったそうだ。近所の公園に息子を連れだすと、周りの子どもたちが集まってきて質問攻めにされた。病気のことや障害の状態を丁寧に説明すると、子どもたちはすぐに息子に対して親しげに接してくれるようになったのだという。田島さんは「きちんと知ることで人は偏見を乗り越えることができる」と実感を語った。また、笑顔が素敵な子で、「彼の笑顔から、『そのままでいいんだよ』というメッセージを受け取って気持ちが楽になったと言われたこともある」というエピソードも披露してくれた。さらに、「何を成し遂げたか、何を残したかということが評価される世の中であるが、命はそのままで尊いという、私たち社会が気づかずにいたことを知らせてくれる存在だ」と強調した。
 印象に残るエピソードや世の中に対する大きなメッセージをうかがい、一人でも多くの人にこの話を知ってもらえるように願い、筆を執った。



(2019年2月25日掲載)



前後のオピニオン

リキッドバイオプシーの未来
(2019年3月8日掲載)
◆希少疾患から考える
(2019年2月25日掲載)
増税対応改定の官報告示時期
(2019年2月22日掲載)