オピニオン

てんかんと永久脱毛

 先日聴講した、高齢者や女性のてんかん、医療連携などに関する内容の講演で、最後に講師の医師がうったえたことが印象に残っている。それは、てんかんとは全く関係がないと思われる永久脱毛に関することだった。
 自身のクリニックに通う患者のなかで、永久脱毛に行って断られるケースが複数あったのだそうだ。光を発する機器を用いるため、発作が起きるのを懸念される模様。しかし、光過敏性のてんかんはごく一部で、年齢層も限られており、きちんと服薬して発作がおさまっている患者ではそれによって発作が起きることは考えにくいのだという。そのような診断書を書いてもなお断れた患者もいたといいい、「他の同世代の人たちが享受しているものをてんかんだからと言って享受できないのはおかしいことだ」と強調していた。
 これまで女性とてんかんという話題では、結婚や出産に関する話を聞くことが多く、脱毛のような日常生活と結びつけたことはなかった。もしかしたらこれ以外のことでも、病歴を申告する必要があるところでは断られているケースがあるのかもしれない。あるいは、ほかの疾患を抱える人も、同様に何かを断られたり諦めたりしていることも予想できる。疾患啓発の重要性を深く考えた事例だった。
 10月はてんかんの啓発月間。10月29日には表参道のthe AIRSTREAM GARDENにて「Purple Cafe」が1日限定で開かれ、イベントが開催される。



(2017年10月20日掲載)



前後のオピニオン

ザ・衆院選
(2017年10月27日掲載)
◆てんかんと永久脱毛
(2017年10月20日掲載)
混迷する衆院選挙の行方
(2017年10月6日掲載)