オピニオン

高額療養費制度の見直し

 高額の医療費がかかった場合の患者の負担額を抑える「高額療養費制度」について、政府は負担の上限額が引き上げることを決めた。ただ、患者会などからは引き上げの見直しを求める声が挙がり、政府は長期間の治療が必要な人の負担増を見送る方針を示した。一方で立憲民主党は、政府の検討する負担上限額の引き上げを凍結するための法案を国会に提出している。
 患者会の取材でも当事者からは高額療養費制度があるために、「安心して治療を行うことができる」との声を多く耳にする。日本製薬工業協会の木下賢志理事長も先日の会見で高額療養費制度に関し、「高度な医療と薬剤への負担の抑えることで、医療へのアクセスがしやすくなる非常に優れた制度で、しっかりと守る必要がある。丁寧な議論がこれからも必要ではないか」と指摘し、懸念を示していた。
 高齢化が進む中、医療保険財政の安定化は喫緊の課題であり、社会全体の給付と負担のバランスが求められることはもちろん理解できる。これ以上現役世代に負担を強いることは厳しく、財源も確保しないといけない。ただ高額療養費制度はセーフティネットであり、誰もが病になる可能性がある。現時点では着地点がどうなるかは分からないが、負担をどう分かち合うのか、しっかりと議論してほしい。



(2025年2月28日掲載)



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