オピニオン
花粉症治療で見る
患者負担の日本とアメリカの事情
今年も花粉症の季節がやってきた。今春は全国的に観測史上1、2位を争う花粉の飛散が予測され、花粉症患者は症状の重症化が、花粉症でない人は新たに発症することが危惧されている。いずれにしても、これから春にかけて医療機関には昨年以上の花粉症患者が押し寄せるのは必至だ。
ところで、花粉症を治療するのにどのくらいの費用がかかるのか。朝日新聞調べによると、内科的治療の場合、アレルギーの血液検査5530円、診療代(4回の通院代)3510円、飲み薬や点眼薬等の薬代9040円の合計1万8180円にのぼるという。毎月の保険料を支払っている上に、3割負担とはいえ、この患者負担の高さにちょっと驚いた。とはいえ、そこは世界に冠たる皆保険制度の日本。安い医療費で、良質で公平な医療サービスを提供しているとWHOからお墨付きを貰っているだけに、欧米諸国よりも患者負担は安く、特に自由診療のアメリカとはWHOレポートにもあったように半額程度だと思っていた。ところが、必ずしもそうとは言えないようだ。
アメリカでは加入している民間保険の種類によってカバー率は全く違うが、アレルギー検査は保険によってはタダ。ある企業の保険プランの場合、通院代は1回10ドル(保険料は月150ドル)。処方薬の自己負担額は3段階に設定され、最高が40ドルで、最低が10ドル。処方薬に最低の「ジェネリック」を選択すれば、単純計算でアメリカの患者負担は日本よりも安い。加入保険によって疾患によって一概にそうなるとは言えないだろうが、花粉症治療を見る限り、日本の患者負担は決して安い方ではないのは確かだ。
(2005年2月25日掲載)
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◇国内製薬企業再編の背景に関する 考察 (2005年3月4日掲載) |
◆花粉症治療で見る 患者負担の日本とアメリカの事情 (2005年2月25日掲載) |
◇せまる外資による株式交換M&A (2005年2月18日掲載) |