オピニオン

「近所の病院の敷地内薬局」第3報

 歯科を含め、いくつかの診療科に定期的に通院しているが、診療報酬・調剤報酬改定の年は、必ず4月に行くことにしている。なぜかといえば空いているから。ほとんどの人が3月に駆け込み受診をするのだろう。確かに診療代は若干、上がっているが、とにかくガラガラで待ち時間はほぼゼロ。ストレスもゼロ。時間をお金に換算すれば、差し引きゼロ、むしろ待ち時間がない分だけプラスと捉えることもできる。しかも、16年度改定では、薬局での自己負担額はむしろ減っていた。さて、今回はどうなっていることか。
 ところで、以前、この欄で2回にわたり「近所の病院の敷地内薬局」について書いた。簡単におさらいをすると、一昨年の夏の終わり頃に「近所の病院の敷地内」に薬局ができた。産婦人科と内科を標榜する50床規模程度のその病院の向かい側には、すでに門前薬局が1軒あるにもかかわらず、だ。ところが昨年の初頭、病院が「全科休診」を宣言、残された敷地内薬局(と門前薬局)だけが細々と営業を続けている、とここまでが前2回のあらすじだが、この病院に新たな展開があった。昨年の暮れ、何と「休診」していた病院が診療を再開したのである。診療科は内科のみになったが、ほぼ1年ぶりの診療再開。なるほど敷地内薬局はこの日を待っていたというわけか。患者や住民にはその間の事情は何も知らされないが、病院と敷地内薬局にとっては「めでたしめでたし」となるはずだったのだろう。
 ところが、どうも思惑通りにはならないようだ。18年度調剤報酬改定では、大手調剤薬局チェーンなどの大型門前薬局だけではなく、病院前の分割薬局、いわゆる「敷地内薬局」に対しても、厳しい点数設定がなされた。薬局にすれば収入減が直撃することになる。安さを売りに集客力アップでも図れば話は別だが、さて、どうなることか。
 それにしても、行政と企業の「いたちごっこ」の格好の例が近所にあると、非常に勉強になる。何しろ生きた教材を目の当たりにしているのだ。まだまだ次の展開がありそうだから、いましばらく定点観測を続けることにしよう。



(2018年4月6日掲載)



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