オピニオン

安倍晋三首相の辞意

 8月28日、安倍晋三内閣総理大臣が辞意を表明した。モリカケ問題や「桜を見る会」、検察官の定年延長問題など、足元を揺るがす問題に何度も直面しながらも、歴代最長の約7年8ヵ月の政権かつ憲政史上最長の在職日数を記録した矢先の出来事だった。安倍首相は同日の会見で、「他の様々な政策が実現途上にある中、コロナ禍の中、職を辞することとなったことについて、国民の皆様に心よりお詫びを申し上げます」と、任期を1年残しての辞任を謝罪した。
 この理由となった「潰瘍性大腸炎」にも注目が集まっている。「潰瘍性大腸炎」は、大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる炎症性疾患で、血便や痙攣性または持続的な腹痛、発熱、体重減少、貧血などが起こる。日本には20万人以上の患者がいるとみられるが、発症原因が不明かつ根本的治療も無く、厚生労働省の指定難病に指定されている。
 難病指定の有無にかかわらず、「潰瘍性大腸炎」のような原因不明・根本的治療無しの疾患は少なくない。患者に話を聞くと、国の主導で研究を進め、治療への道筋をつけて欲しいという意見がよく出てくる。また、疾患やその症状・特徴があまり知られていないことに起因する誤解や偏見も多く、医療関係者をはじめとする国民への疾患の周知を望む声も多い。
 今後、報道等で次期首相の話題が大きく取り上げられるとは思うが、難病やその対策に関する内容も扱われるのであれば嬉しく思う。



(2020年9月4日掲載)



前後のオピニオン

武田コンシューマーヘルスケアの譲渡
(2020年9月11日掲載)
◆安倍晋三首相の辞意
(2020年9月4日掲載)
オフピーク
(2020年8月28日掲載)