オピニオン

薬局の「OTC薬離れ」で進む規制緩和

 「薬局でOTC薬はほとんど扱われていない。それを念頭に入れて制度の見直しをお願いしたい」――。薬剤師不在時における薬局でのOTC薬販売のあり方を巡り、厚生労働省内で行われた関係団体ヒアリングで、日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)の宗像守事務総長はこのように訴えた。
 いわゆる、「二重申請」の解消に向けてJACDSでは、薬局申請のみで許可を受け、薬剤師不在時には調剤室だけを閉鎖し、登録販売者がいれば第2~3類医薬品を販売できるよう規制の緩和を要求。「薬剤師のいる時間に制限されると、OTC薬の購入を求める患者・生活者にとって不便」(宗像事務総長)との理論だ。一方、日本薬剤師会や日本保険薬局協会(NPhA)などは、「薬剤師不在の状態は法的・機能的にも薬局ではない」「薬剤師の雇用も薬局経営者の責務」と反発。これに対する宗像氏の反論が冒頭の発言だ。OTC薬販売という側面に限れば大きな説得力を持つ。
 日薬で一般用医薬品委員会を担当する渡辺和久常務理事は、先に開催された日薬総会で各代議員に対し、「セルフメディケーションに対応するためには、薬局でOTC薬を置いて頂くことが第一だ」と呼び掛けた。しかし、薬局の「OTC薬離れ」は一向に改善せず、調剤業務のみに特化した薬局経営が目立つ。こうした状態が長く続けば、要指導医薬品や第1類医薬品を含むOTC薬販売における「薬剤師不要論」にも繋がりかねない。



(2017年3月31日掲載)



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制度理解への責任
(2017年4月7日掲載)
◆薬局の「OTC薬離れ」で進む規制緩和
(2017年3月31日掲載)
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(2017年3月24日掲載)